前回202回講座で、取引先の選び方について述べたが、満足すべき相手と取引するのは難しく、多少問題はあるが、取引可能な相手先と取引を進めることが現実である。次の段階として、取引を「管理」する必要性が出てくる。2006年5月20日に「取引先与信管理―信用程度 貿易講座51」を掲載しており、いまだに読んでくださる方があるので、現時点で少々加筆の上、再掲載したい。
取引関係が成立したら、その取引の状況を継続的に把握する。
(1) 定期的に客先の信用調書を取付ける。時系列的な点検をし、現状を把握する。
(2)できれば取引の節目節目に取引先を往訪し、状況把握に勤めると同時に、こちらの考え方、取 引方針等よく伝えると同時に相手先の考え方も聴取する。
(3) 取引先に対する与信限度(信用程度)を設定し、その枠内で取引する。不測の事故を防ぐため、その限度を超えて取引をしないようにする。与信限度は金額で表示する。
1) 売取引の場合
第2与信限度 約定残の合計
2) 買取引の場合
第1与信限度 前渡金の合計
第2与信限度 約定残の合計
3)運輸・寄託(輸送業者や倉庫)
それぞれ限度額を設定
一般の取引先に対しては上記の通りだが、下記例外がある。
*与信限度不要先:政府機関など *与信限度省略先:誰もが認める超優良企業
*船会社は原則として、輸送(運輸)与信限度の対象だが、外航船を運営している船会社に対しては与信限度の設定を不要としている場合が多い。ただし2016年の韓進海運倒産の例もあり、信用不安のうわさがある船会社には積まぬこと。
与信限度は原則として1年間有効とし、失効前に見直しの上、更改手続を行なう。また1年以内であっても、業況に大きな変動がある場合は随時見直す。
与信限度による取引先管理は輸出においてD/A、 T/T (船積後)決済の場合特に重要である。L/C決済と D/P決済は一応現金決済であるゆえ対象外と考えられるが、現実には銀行間決済が完了し、完全に入金するまで注視しておくとよい。
状況把握には下記のようなポジシヨン表を利用するとよい。
1月 2月 3月 4月――――――――――――
月初
発生
ピーク時
消滅
月末
月別に管理し、ピーク時に事前に設定しておいた限度額を超えないようにする。
貿易業務従事者はきわめて多忙であり、上述の管理業務を自ら行うのは難しいかもしれない。しかしながらこういう面にも目配りをしておかないと、不測の事態に遭遇することがある。